作業療法を学ぶ大学生へのインタビュー
作業療法士からの体験談
【作業療法士になろうと思ったきっかけ】
私が作業療法士を目指したきっかけは、聴覚障害者である祖父母が関係しています。はじめは私自身が祖父母になにができるのだろうかと考え、その当時病院に通院することが多くなっていた祖母をみて、医療従事者になり手伝いをしたいと思いました。しかし、医療従事者について色々と調べていくうちに、私には向いていないのではないかと思うようになり、医療従事者になることを諦めようとしていました。
そんなときに、母が作業療法士という職業があるということを教えてくれました。作業療法士について、ネット情報などから自分なりに調べていくうちに、患者様の身体機能の向上だけではなく、心理面・生活へのアプローチをすることができることが分かり、作業療法士への興味がさらに沸いてきて、自分の進路として目指したいと思いました。
大学4 年間は言葉では表せないほど学ぶことが多く、楽しいことや落ち込むこと、不安になることがありましたが、友人や先生方、家族に支えられ作業療法士になることができています。現在は、祖父母ともに病院や通所デイケアに行くことが多くなり、作業療法士だけでなく多くの方に支えられ生活できています。
【高校生への臨床現場見学のススメ】
母からの勧めをきっかけに、作業療法士のことをもっと知りたいと思い、作業療法学科がある大学を調べ、以前行った事があった文京学院大学のオープンキャンパスに高校3 年生の夏に行きました。その日は大学の先生だけでなく、現場で働いている作業療法士の方々が学校に来ていて、現場での作業療法士の役割や実際に病院や施設を見学することができると説明をしていただき、その場で簡単な手続きで見学の予約を取ることが出来ました。その時に、見学に行った病院の1つがあさひ病院です。
実際の見学をとおして、そのときの自分なりではありますが作業療法士が患者様にどのように関わっているのか、なぜ患者様が笑顔になれているのかを知ることができました。高校3 年生の夏に現場見学をすることができたからこそ、作業療法士がなにを行っているのか入学前に知ることができ、同時に作業療法士についてもっと知ってみたい、目指してみたいと思えたのだと思います。また、高校3 年生の時に見学にいくことがなければ、調べられる範囲の文字情報だけをみるにとどまり、自信を得ること無く諦めて、作業療法士を目指さなかったかもしれません。
翌年の春に文京学院大学に入学し、自分の体験を活かして大学のオープンキャンパス委員になりました。オープンキャンパスに来場された高校生からは、「作業療法士はどういうことをやるのですか?」とよく声をかけていただきます。その時は、言葉で自分の伝えたいことを頑張って伝えていましたが、実際には伝えきれていない事がたくさんあったと思います。なんとか伝えられたつもりでも上手く伝わっていないかもしれませんし、私の話を聞いてくださった一人一人の捉え方は違うと思います。だからこそ、本やネットでみる文字だけの情報だけではなく、実際に病院や施設に見学に行って、自分自身の目と肌で実感してもらうことが大切だと思います。
大学での授業や実習では、高校生の時に見学したときのことがヒントとなって、「だからこういうことを患者様に提供していたのか!」、「私も実践してみたい」、と考える力になったと思います。大学入学前に病院や施設の見学が出来るということはめったにないチャンスです。見学することで自分の知識にもなりますし、自分なりの言葉で自分の考えを伝えられるようになると思います。
ぜひ、大学入学前に病院や施設などの臨床現場を見学してみてください。
医療法人尚寿会あさひ病院認知症疾患医療センター
作業療法士 野田 芽生
(2019 年 3 月 文京学院大学 卒業)